


京都府や奈良県に隣接する三重県の中央にある松阪市。
そんな松阪といえば、日本三大和牛の「松阪牛」ですよね。
ですが、それだけじゃないんです。実はとっても食の懐が深い町。
そんな「美味しい松阪」を巡るとともに、松阪の歴史も辿ります。


松阪駅東口から徒歩約10分。
三重漁連のり流通センターの一角にある「海苔テラス」



▲海苔をふんだんに使った定食
海苔テラスではさまざまな海苔の商品を購入でき、レストランもあります。
隣接するのり流通センターでは、三重県内の海苔が集まり、競りが行われています。
海苔の競り人も務める販売事業部のり海藻課の石倉さんにお話を聞きました。
三重の海苔の特徴とは?

石倉さん:木曽三川、鈴鹿山脈、大台ヶ原から山の養分が流れ込む伊勢湾は、海苔が育つ栄養が豊富。そして遠浅なので昔から海苔づくりが盛んです。海苔には大きく分けて黒海苔と青さ海苔(アオサ)があり、日本の約6割のアオサは三重県で生産され、松阪もアオサの産地です。
ライター:三重は海苔大国だったんですね。美味しい海苔、良い海苔の条件って何ですか?
石倉さん:黒海苔の場合は色の濃さ、風味や甘味、あと「食い切れ」といってパリっとした食感も大事です。火で炙ると香りが引き立ち、より美味しくなりますよ。
アオサは用途によって評価の基準が違います。袋詰めされたものは団子状や粉々ではない形状で、深い緑色だと相対的に香りが強く良しとされます。佃煮に使う場合は早い時期に収穫したものだと溶けてしまうので、しっかり育てた方が好まれます。あと海苔は海の野菜といわれるほど、食物繊維、たんぱく質、ビタミンなどが豊富です。
和食の朝ごはんには、海苔が添えられていることが多い。さらに三重の沿岸部ではアオサの味噌汁もよく食べられています。島国日本の貴重な栄養源である海苔を朝食で頻繁に食べるのは、健康面でも理にかなっているのではないでしょうか。
実食用の高級黒海苔とお土産を購入し、向かったのは伊勢湾。

火をおこして海苔を炙ることはできないので、お日様の光で温め中。
ライター:黒い!透けない!いつも食べていた海苔と存在感が違います。
海の恵み、潮の香りを感じながら、実食。

ライター:「磯の香りーーー!」って叫びたくなるくらい、香りがすごくいいです。
パリっとした食感がありながら、厚みがあるのでご飯に馴染んで美味しいです。美しい海と海苔の香りに癒されます。
自然とその恵みをたのしみ、続いて大地の恵みをいただきます。




うかがったのは大豆や豆腐・味噌など大豆の加工品を生産販売する野瀬商店。
対応してくれた野瀬さんにお話を聞きました。

▲野瀬さん(右)
野瀬さん:大豆は300種類以上あるのですが、商品に使っている「嬉野大豆」は、三重県固有の在来種であり江戸時代(1603-1868年)から栽培されていた「美里在来」の大豆から生まれた品種です。脂質が低く糖度が高いので、加工すると甘味や旨味、そして風味も楽しめますよ。

私は、予約販売(お電話にて要予約)をしている「極み寄せ豆腐」を購入。
豆腐作りの工程で通常では、にがりで固めたあと殺菌と冷却を行いますが、「極み寄せ豆腐」は殺菌冷却をしていないので大豆の本来の味が引き立つといいます。

▲豆腐どーなつ
視界に入り気になるのは豆腐のドーナツ。嬉野大豆の甘味を活かし、砂糖不使用で人気の品なのだとか。こちらもいただくことにしました。
まずは豆腐から。

ライター:豆腐が甘い!そして茶碗蒸しのような、なめらかな食感。スイーツみたいで贅沢な気分になります。
続いてドーナツの味はいかがでしょうか?

ライター:プニプニでもちもち。砂糖を使っていないのに優しい甘味があり、自然な大豆の風味もいいですね。
海と大地の恵みで口福感の余韻に浸りながら、次は歴史散策へ。
「伊勢神宮」がある伊勢市への道中に位置する松阪市は、昔、大勢のお伊勢参りの参拝者で大変賑わいました。今回は情緒ある伊勢街道の町並みを散策。

▲中村さん(右)。
奈良に繋がる初瀬街道と伊勢街道が合流する六軒、市場庄、久米エリアを巡ります。ご案内いただくのは、歴史・文化の語り部の会「格子戸の会」会長の中村さん。

歴史を感じる古民家を眺めながら、六軒から市場庄へ歩きます。
ライター:どこかで見たことがあるような建物ですね。

中村さん:伊勢市のおはらい町の町並みに似て屋根が三角に見える面に出入り口がある町家が市場庄には多く、屋根がギザギザに並んだ町並みが特徴です。

それにしてもおはらい町などの町並みと違って木戸から覗く広い敷地が印象的。この地区は農業が主産業で昔は木戸を大八車が通りモミを庭に干したりしていたそうです。情緒を醸す格子は明治時代(1868-1912年)に付けられたもの。

街道から少し外れて100mほど脇道を行くと「忘井」があります。古代から南北朝時代までの約660年間にわたり、天皇に代わって伊勢神宮に仕えるために未婚の皇女から「斎王」が選ばれました。斎王は天皇が代わるまで都には帰れませんでした。都から斎宮(明和町)まで斎王群行と呼ばれる5泊6日の旅の最後の日にこの忘井で休憩をしたといわれています。
久米地区の途中、道が大きく曲がり田んぼが広がって視野が開け、遠く山々が望めます。そんなのどかな風景に映える、お堂や石碑。

ライター:田舎でこのようなお堂をよく見かけるのですが、ここは何を奉っているのですか?
中村さん:民間信仰でこのお堂は庚申さん、丸い石碑は山の神を祀ったもので、常夜灯や石標も並んでいます。集落の外れにこのようなお堂や石碑があるのは、恐らく邪気や悪いものが集落に入らないように守る意味合いがあるのだと思います。


最後に訪れたのは南北朝時代(1336-1392年)から続く名家・舟木家の長屋門です。

江戸時代(1603-1868年)に造られた美しいなまこ壁が特徴。馬に乗ったままでも通れる高さで迫力もあります。江戸時代に造られた長屋門には舟木家の2つの紋が掲げられています(個人宅のため公開されていません。外観のみご覧ください)。
ナビゲートいただいた中村さんとお別れし、今夜のおかずを調達するため肉の直売所へ。
お肉の直売所はJA全農みえミートが運営していて、朝加工した精肉などが並びます。松阪牛をはじめ、伊勢うまし豚、伊勢赤どりなどのブランド肉や加工品も直営価格で販売。
土日の特売は特に人気で、年末には行列ができるそうです。

ライター:肉が輝いています。松阪牛や大きな和牛コロッケもお値打ちですね!

全国温泉番付で堂々西の横綱を誇る湯原温泉。温泉街には屋外の足湯が何ヶ所かあって、服を着たまま気軽に温泉気分を楽しめます。付近にはテイクアウトができるお店もあり、フード片手に自然を眺めながら足湯を楽しんできました。

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